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よくあるご質問

素浪人の『万葉集漫談』(189話)…東北大震災で生まれる悲劇に思いを寄せて。

(189) 見わたせば 向つ峰(ヲ)の上(へ)の 花のほひ
        照りて立てるは 愛(ハ)しき誰が妻
   巻20・4397 兵部少輔大伴家持(オオトモノヤカモチ)

解説・ 見わたすと向こうの丘の上には花が一面に美しく咲いて、その花に照り映えるるように女性が立っている。何と麗しく可憐な女性なことよ。一体、どなたの夫人なのか…。といった女性讃歌の歌です。
 ・兵部少輔→兵部省の次官。
家持は754年に任官しており、755年に防人が交替派遣される防人歌を集めさせ取捨選択した84首が、現在、私達が見ている巻20に掲載されている歌です。防人たちの望郷の歌を読むにつけ、詩人、家持の心は切ないまでに揺れ、心中に燃え上がるものがあったのではないでしょうか。一説では、大臣橘諸兄に防人の苦衷を上申する意図もあったといいます。
 でも、この歌は「美人羨望」の歌で、人さまの奥様に憧れる男の心情を詠んでいて、激務の傍らでも、男性の人様のご夫人への憬れは永久で、万人共通を証かすような…。(笑)

(189’) 韓衣(カラコロム) 裾に取り付き 泣く子らを
      置きてぞ来(き)のや 母(オモ)なしにして
   巻20・4401 他田舎人大島(ヲサダノトネリオオシマ)

解説・ (出征する私の)韓衣の裾に取りすがって泣きじゃくるわが子らを置いてきてしまった。ああ、母親もいない子らを!
 ・ 韓衣(カラコロム)→韓衣(カラコロモ)の東国訛り→大陸風   の衣服。
 ・ 来の→来ぬの訛り。 ・や は、詠嘆の助詞。
男やもめの防人が、面倒をみる母親もなく泣き叫んで、衣のすそを放さなかった子らを詠った悲痛な歌です。信濃(長野県)上田市周辺の出身で、防人としては、身分階級で一番高かった国造丁だったのではないかと思われます。
     
大変有名な歌で、皆様も多くの方がご存じの歌ではないでしょうか…。 今度の東北関東大震災でもこうした境遇に泣く孤児も多く生れたのではないかと、案じられることです。

コメント

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