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よくあるご質問

太宰治の恋文!…素浪人の『万葉集漫談』(192話)

太宰治が、恋人、太田静子にあてたラブレターが、これだといいます。
NHKの「日めくり万葉集」に太宰と静子との間の子、太田治子が選歌した万葉歌です。

(192) 常人(ツネビト)の 恋ふといふよりは 余りにて
         我は死ぬべく なりにたらずや
巻18・4080 大伴坂上郎女(オオトモサカノウエノイラツメ)

解説・ 世の人が「恋する」という、ありきたりな気持ちを通り越して、気がつくと私はもう、死にそうになっている。
                 …という意味の歌です。 太宰治が逗留していた伊豆の旅館から恋人、太田静子(小説・斜陽のモデル)にあてた速達には、原稿用紙にこの万葉歌のみが書かれていたといいます。
静子は、太宰が死ぬ気ではないかと案じて、小田原の家を飛び出し、旅館に向かったといいます。 

 そして、太田治子は言うのです。母親、静子ならずとも、私もこんな歌の手紙をもらったら、走って恋人のところへ駆けつけますわ、と。恋文で小細工をするよりも、はるかに効果的に、恋人の心を捉える万葉歌ということでしょうか…。

因みにこの歌は女流万葉歌人として著名な、大伴坂上郎女が、甥の大伴の家持に贈った二首の一首です。もう一首は、

(192’) 片思ひを 馬にふつまに 負ほせ持て
     越辺(コシへ)に遣らば 人かたはむかも 
             巻18・4081 

解説・ この私の片思いを、馬にどっさりと背負わせて越しの国につかわしたら、どなたか手助けに心を寄せてくれるかなぁ。…といった戯れ歌なのです。 
 ・ふつまに→たんまり。 ・かたふ→片棒を担いで? 
 ・越辺に→越しの国→越中(富山県)

坂上郎女の娘、大伴坂上大嬢は大伴家持の妻です。従って坂上郎女は、家持にとっては、姑であり、叔母であり、また歌の手ほどきを受けた師匠でもありました。

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