趣味でつながる、仲間ができる、大人世代のSNS、趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)

よくあるご質問

今日から4月、新たな気持ちで

4月1日、今日から新年度が始まり、新入生を迎え入れる入社式と人事異動の辞令交付が行われたことだろう。
 そういう世界から離れてもう丸5年になってしまった。
 四月一日という苗字があって「わたぬき」さんと読むのだそうで、富山県魚津・滑川地方に多いとか。
 また、栗花落と書いて、栗の落花が入梅の時と一致するところから「つゆり」さんで、八月一日は「ほづみ」さんと、それぞれ旧暦の季節と生活態から苗字が生まれている。

 藤沢周平著『帰省』文春文庫、没後11年になるという作者最後のエッセイ集を読了。
 帯にも抜書きされているが、印象に残ったところがあった。
 「小説を読んでも、腹が満たされるわけでもないし、明日の暮らしがよくなるわけでもない。つまりは無用の仕事である。ただやむにやまれぬものがあって書く。まことに文学というものは魔であり、作家とは魔に憑かれた人種というしかない」  《雪のある風景》。
 一種、自己韜晦的な後ろめたさを覚えつつ、しかしそのことに作家としての矜持を抱きながら、誠実に生きる人を描くことで自己のあり方を示すしかないという姿勢なのだと思う。
 30代の頃、「後ろめたさの美学」ということを、当時の上司と話していたことがあった。「自分は、これでいいのか」という意識を常に持って生きていようと。

 中野京子著『名画の謎 ギリシャ神話篇』文藝春秋社を読了。
 大きくは四つのパートに分かれていて、「ゼウスをめぐる物語」、「ヴィーナスをめぐる物語」、「アポロンをめぐる物語」、「神々をめぐる物語」の20の物語。
 『オール讀物』に連載された「絵画で読む神話」を再編集したもので、多くの画家たちが好んで取り上げたギリシャ神話を題材とした名画を紹介している。
 その豊かな物語に満たされる知的好奇心、神々の姿に擬して描かれる人間の肉体への賛歌。そう、当時は神話にあるということで裸婦を大っぴらに描くことができたし、王侯貴族や富裕階級がそれを求めたのでもあった。神話にあるということだけで同じ裸婦を描いても、マネの「草上の昼食」や、現実の娼婦がモデルとなった「オランピア」とは全く異なって、スキャンダルとはならなかったのだ。
 それにしてもギリシャ神話の神々の性格や行動、そこに語られる悲喜劇と人間性の本質、心理学用語に象徴的に記されるエピソードは文学や絵画に数多く描かれている。

 この四月からNHKラジオ第二放送で、4月8日からの木曜日、午後8時30分から9時まで(再放送が翌日の金曜日、午前10時から30分間)6月23日までの3ヶ月間、NHKカルチャーラジオ「文学の世界・ギリシャ神話(ルネッサンス・バロック絵画から遡る)」が放送される。
 講師は東京大学名誉教授。逸身喜一郎先生。
 家に帰ってから、たまたまこのテキストを含めた二冊がギリシャ神話つながりだったと気づくお粗末さでもあった。
 春だもの、少しは新たな気持ちでと。

コメント

コメントはログインすると見られるようになります。