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よくあるご質問

千の風になって…そして新井満の恋のため息。…素浪人の『万葉集漫談』(196話)

千の風になって あの大きな空を 吹きわたっています
     …私は   …死んでなんかいません  で、一世を風靡した新井満の選んだ万葉歌は、やはり磐姫皇后の歌でした。
 新井満はかって万葉の恋歌から五首を厳選し作曲、小林幸子がそれを歌っています。
私の座右から離れることのない、『万葉集ー全訳注原文付』(中西進・講談社)の分厚い本を、夏3ケ月をかけて、呻吟し苦労して目を通し、納得する歌を選んだというのです。4500首の万葉歌全部に目を通したというのですから、その格闘ぶりは目に見えるようです。

NHKの『日めくり万葉集』には、彼によって選ばれた一首が載っています。万葉集巻2の冒頭を飾る磐姫皇后の4首の激しい恋歌がありますが、その2番目の歌です。

[196)かくばかり 恋ひつあらずは 高山の
      岩根(イハネ)しまきて 死なましものを
      巻2・86 磐姫皇后(イワヒメノオオキサキ) 

解説・ これほどまでに貴男に恋焦がれて待ち続けるよりも、いっそのことお迎えに行こう、もう山の途中で、のたれ死んでも構わないわ。という意味の歌なのです。
 ・岩根しまきて→岩根を枕にして死ぬ。;ご参考(旅枕:手枕・草枕・岩枕)

『万葉集』巻2の冒頭の4首を要約しますと、
?山道を踏み分けて探しに行こうか、いや、お待ちしようか。
?(この歌)→野たれ死んでもいいわ、お迎えに行こう!
?いや、やはりお待ちしよう。私の黒髪が白髪になろうとも。
?ああ、朝の濃霧が晴れやらぬように私の恋心は定めがたく迷路を行き来するばかりだ。
 という構成で出来ています。男性の長旅の帰りを待つ、女性の揺れ動く焦れったく、やるせない心が見事に描かれています。磐姫皇后にこれほどまでに激しく恋いをされた幸せな男性は、第16代仁徳天皇です。
 まさに、万葉集で最も古い時代の歌となるわけですね。

東日本大震災で亡くなられた夥しい人、行方不明者。それを見送らねばならぬ生き残った人々の心情を思う時、『万葉集』の数々の挽歌とともに、新井満の歌う「千の風になって」をともに心をこめて歌い、励ましのお役に立てればと思うことです。
さぁ、義援金活動も当分は休むことなく続けなくっては!

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