(198) 託馬野に 生ふる紫草 衣に染め
いまだ着ずして 色に出でけり 巻3・395 笠女郎(カサノイラツメ)
読み・ ツクマノニ オフルムラサキ キヌニシメ
イマダキズシテ イロニイデケリ
解説・ 託馬野(滋賀県米原町筑摩か)に生えた紫草で着物を染めあげて、まだ袖も通さないうちから噂になってしまったように、貴方との恋仲もまだ実ったわけでもないのに、人様のお口に上るようになってしまいましたわ。…というほのかな女の慕情を伝える恋文です。
(198’) 陸奥の 真野の草原 遠けども