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よくあるご質問

文春新書 藤原 明 氏著 「日本の偽書」 を読む

偽書とは何か:
 記述内容の真非に関わり無く、作者・書名を偽ったもの。

偽書の種類:
 史書、日記、紀行、神道仏教の典籍、伝授書、歌集、歌論秘伝、有識故実書、兵書軍記、地誌、寺社の縁起、系図、由緒書、偽文書など様々のバリエーションがある。

偽書がもてはやされて来た理由:
 偽書の荒唐無稽さの中に隠された真実があるのではないかと言う歴史ロマンに陶酔し、次第に高揚して信じる気持ちが生まれる。
 特に日本が近代国家に生まれ変わるに際して、国家に相応しいナショナリズムを育成する手段として、民族の誇るべき歴史像の構築が希求された。
 そういう時代背景により、マスメディアもロマンを掻き立てる論調となり、正史にない魅力に惹かれ偽書が新たな息吹を与えられ、一定の地歩を占めることになった。

偽書を信じる側の論理:
 (1)理解できない深遠な真実が隠されている。
 (2)厖大な量の偽書の成立には偽作者一個人の手に負えない。
 (3)仮名遣いが新しいなどの批判には、資料には残っていない口語で書かれたものであるとか、写本であり書写の過程で生じた誤りと見るべきである、との言い訳を用意。

偽書成立の原動力:
 (1)個々の偽書の成立には夫々の経緯があるが、近年の偽書の成立の大きなファクターは「言説のキャッチボール」とされる。
 (2)偽書に書かれた言説が偽書から離れて一人歩きし、サブリミナル効果として無意識に取り込まれ、歴史ロマンとして再生産される。

言説のキャッチボールとは:
 言説を端から信じない人は近付かないが、興味を持ったり或いは追求心のある人は偽作者に近付き、そこで意見などの交換がなされ、
 それらの情報が偽作者に取り込まれ、捏造の次のステップに進み、更なる意見や解釈の交換により、偽作の筋がそれらしく形成されるという、 新たな創造物が生成されるメカニズムを言う。
 若干ニュアンスは違うが、藤村新一氏の旧石器捏造事件も、リーダーの解説などを取り込んで受けを狙い、それを捏造によって実現させようとしたものである。

偽書とされている主なもの:
 (1)秀真伝(ほつまつたへ)・・・4世紀頃の事を神代文字で書いたもの。
 (2)上記(うへつふみ)・・・貞応2年(1223)豊後守護大友能直が撰したものと伝えられる。
 (3)竹内文献・・・武内宿禰66代の後裔と称する竹内巨麿(茨城県磯原町の天津教奉斎する皇祖皇大神宮の神主)が保有する家伝の神宝・巻物類
 (4)東日流(つがる)外三郡誌・・・青森県五所川原市の和田家に伝来したという秘書。
 (5)宮下文献・・・富士吉田市宮下家の古文書(文久3年から)
 (6)安部文献・・・安部仲麻呂の後裔と称する安部家の文書(昭和3年頃)
 (7)九鬼文献・・・綾部藩(鳥羽)主九鬼家(織田水軍として名を馳せる)の文書。
 (8)先代旧事本紀・・・平安の頃、日本書紀の解説講義としての日本紀講の講師となった物部の後裔という矢田部公望が、講義テキストとして用いたと思われる物部古文書を下敷きに物部を顕彰するために書かれたものと思われる。
 (9)先代旧事本紀大成経・・・物部神道を興隆させる意図を持って、先代旧事本紀に神道などにつき詳しい奥義秘伝を付け加えたもの。

この本で解説されているのは、紙面の都合で、
 超国家主義者の教典としての(2)上記、(3)竹内文献。
 東北幻想が生んだ偽書として(1)秀真伝、(4)東日流外三郡誌。
 記紀の前史を名のる偽書として(8)先代旧事本紀、(9)〃大成経。 長い間偽書とはされていなかった。
 の6書に絞って取り上げている。

今まで偽書とされていながらも、その理由が判然としなかったが、この本により明らかにされた思いである。
上記の解説は私なりの解釈によるから、詳しくは本書によって頂きたい。

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