『万葉集』編纂の宿命を持って生れたか、家持。…素浪人の『万葉集漫談』(206話)

家持の父、大伴旅人は、晩年(54歳)になってやっと生れたこの跡取り息子が可愛いくってどうしようもない一方で、歴代の名門豪族、大伴家の跡取り息子として如何に立派に育てるかに腐心しました。佐保の広い御屋敷の中で、家持は様々な学問を学び高い教養を身につけるように育てられて行くのです。
後に舎人(トネリ)となって官界に入るのですが、難関の内舎人(ウドネリ)に選ばれて、宮廷に仕えたのもそうした素養の高さを幼時から培い、学んできた成果と思われます。

(206) わが屋戸に 月おし照れり 霍公鳥(ホトトギス)
       心あらば今夜 来鳴き響(トヨ)もせ