ツレは朝起きるとパジャマのままで義母の部屋の雨戸を開け、ぬれ縁に出て、何を思うのか腕組みをして狭い小さな庭を眺めてる。ずっと手つかず、荒れ放題だった庭をツレは何日もかけて、庭らしくしたものだから「我ながら良くやった」と満足しているよう。
「シーッ、シ―ッ!この猫なんだよ。やたらと土に糞をするし、車の上にはあつかましく乗ってるし、、、」と猫を追い払っているツレ。
眼光鋭い黒猫の存在、出没は私も知っていた。私が二階のベランダで洗濯物を干している時に、物置の屋根にでんと横たわっている彼女の金色の眼と合うし、義母の部屋から庭を見れば必ず近くにいて逃げる様子もなく、逆に私を睨んでいるようにすら見える。
「私ね。その猫、義母さんのような気がするの。だから追い払わない方がいいと思うよ」と私。
「馬鹿なこと言うな。以前からいたよ。この黒いノラは」とツレ。
「いませんよ!義母さんが居なくなってから来た猫よ絶対に!」と
両者譲らず。
ツレがなんと言おうと私は”あの黒猫は義母さんに違いない”と思っている。
今日は”母の日”
毎年この時期、 義弟が死んでしまった後でもお嫁さんから”母の日 ありがとう!”の花が届いていた。立派な紫陽花の鉢植えを見ては
「これ誰からだっけ?」と何度も聞いていたっけ。そして花は枯れても
宅配の送り状を捨てることはなかった。(義母は何年分もそれをためていた)
遠くにいる長男からカーネーションの鉢植えが届いた。用件以外は
話さない無口で無愛想な息子がこの数年、気を遣ってくれている。
私も年をとったかなと思う。お花屋さんのおまけかもしれないけれど
≪幸福の木≫と≪四つ葉のクローバの球根≫も入っていた。
≪幸せを呼ぶ木と四つ葉のクローバー≫は母から息子に送りたいくらい。わたしゃカーネーションよりあなたの幸せがみたいんじゃ。
そればかりは母の努力は及びません。
昔から”母の日”好きではありません。母がいない子にとっては、その一日がしんどい。いったい、母、母、母という言葉を何回聞かされればいのか!〜そんな気持ちだった。
白いカーネーションを抱えた人を見かけた。
仏壇にお供えするのかな。
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