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よくあるご質問

ああ、日本挽歌!…素浪人の『万葉集漫談』(209話)

(209) 世間(ヨノナカ)は 空(ムナ)しきものと 知る時し
      いよよますます 悲しかりけり
       巻5・793 大伴旅人(オオトモノタビト)
解説・ 大宰府に着任して間もない神亀5年(728)4月初旬、妻、大伴郎女を亡くし、旅人が深い悲しみに沈んでいるとき、それに続くように都から凶事(宿奈麻呂・妹坂上郎女の夫の死か?)の知らせを受けます。歌は、次々と重なる不幸を嘆き世の無常しみじみとを歌ったものです。
「空し」は『万葉集』に始めて用いられた例で、仏教思想によるものです。 旅人64歳、家持11歳前後の時のことです。

(209’) 家に行きて いかにか吾がせむ 枕づく
       妻屋さぶしく 思ほゆべしも
       巻5・795 山上憶良(ヤマノウエノオクラ) 
解説・「家に帰っても私はどうすればいいのだ。二人枕を並べた寝室がわびしく思えるだけでしかない」とこれは、上司の旅人に代わって部下の憶良が詠んだ歌です。有名な日本挽歌という長歌のあとの反歌の一首です。 
そしてその長歌の前には維魔大士や釈迦も死を逃れることができなかったとし、一切の生物と同様に、人間とはそういうものなのだという仏教思想を見事に詠いあげた素晴らしい「漢詩が添えられています。旅人に献上された作品です。

幼いころから漢詩の勉強をし、仏教や日本史を学んできた家持にとって、いささか難解ではあっても、こうした二人の高度な歌のやり取りは、子供心を揺さぶる一つの大きな出来事であったし、彼のその後の思想形成に大きな影響を与えたものと思われます。

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