ああ、日本挽歌!…素浪人の『万葉集漫談』(209話)

(209) 世間(ヨノナカ)は 空(ムナ)しきものと 知る時し
      いよよますます 悲しかりけり
       巻5・793 大伴旅人(オオトモノタビト)
解説・ 大宰府に着任して間もない神亀5年(728)4月初旬、妻、大伴郎女を亡くし、旅人が深い悲しみに沈んでいるとき、それに続くように都から凶事(宿奈麻呂・妹坂上郎女の夫の死か?)の知らせを受けます。歌は、次々と重なる不幸を嘆き世の無常しみじみとを歌ったものです。
「空し」は『万葉集』に始めて用いられた例で、仏教思想によるものです。 旅人64歳、家持11歳前後の時のことです。

(209’) 家