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よくあるご質問

5/19 「松川事件」独立プロ制作 山本薩夫監督

終戦後の国鉄事件のひとつ、松川事件を描いた映画。
最近見た冤罪事件に題する今井正監督の映画(例えば 『真昼の暗黒』)と比較せずにはいられない。

今井監督の下では、あくまでも中立の立場で、ドキュメンタリーに近い描き方をしていた。
実際の事件を描く、しかも裁判中である場合は、やはり配慮が必要なのは言うまでもない。
どちらの側に立ってもいけないのだ。確信していても、だ。

今井監督とこの山本薩夫監督の差は、あまりに激しい。
要するに、この【松川事件】という映画は、ドキュメンタリーでもノン・フィクションでもなく、フィクション=架空の物語といえるかというと、実名が出てくるのだから始末に悪い。

しかも裁判は続行中だった。二審判決後の差し戻しが決定された翌日からの制作と知った。
だったら尚更、もっと客観的に描かなければ。
あまりに特定の人物や裁判長をはじめとする検察・警察側の人間を血も涙も理性も正義も全く無い非人間として描き出しているのだ。これはやり過ぎである。
裁判補佐官の笑い顔がどうのこうのというシーンなど、実名で描かれている、実際の裁判模様を再現しているとされる映画なのだから、これを見たら、本当に藤木裁判長はそういう人物で、隣の笑い顔の人もそういう事があったのかと思ってしまう。
取調べシーンも、全てを被告側の言うとおりに描いているようだが、実際のところは、わからない。
それに近い卑劣さがあったとして、映画に描くにはどうなのかと疑念すらわく。

今井監督なら、人間注視の内容ではなくて、客観的事実を主軸に描いたはずと思う。
あまりに感情的になった映画。
国民を煽動している(良くも悪くも、主観的感情過多)映画なのだ。

これはかえって、理性的裁判・公正な裁判の邪魔にすらなると懸念してしまった。

裁判では、翌年1962年夏、全員無罪獲得。検察側の誘導操作の不始末が明らかにされたと知った。
最近の検察事件と同じ。
当時の日本の状況を知るにつけ、暗澹たる思いにかられる。

江戸時代は独立国家だったのに。
維新の結果、日本は属国となり、それはまだまだ続くのだ。
もはやこれまで。またしても、未来に希望を見出せなくなった。

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