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「東の野にかぎろひの立つ見えて…」。 名歌200選??、素浪人の『万葉集漫談』(223話)

柿本人麻呂の長歌に続いて有名な短歌4首がある。多分幾つかは、みなさまも中学、高校の頃のおなじみの歌と思います。 そのなかの2首を引用してみます。

(223) 安騎(アキ)の野に 宿る旅人 うちなびき
        いも寝らめやも  古思ふに
                  巻1・46 柿本人麻呂 
大意・ (いま軽皇子と狩りに来たのであるが)安騎の野に仮寝しようにも、(軽皇子のお父様で今は亡き、草日部皇子とご一緒した勇壮なこの狩り場風景の)昔が思い出されてなかなか寝つけるものではない。…という草壁皇子鎮魂の歌でもあるのす。 

解説・ 軽皇子は後に文武天皇となりますが、そのお父様は早世された草壁皇子。 今や女帝となって絶対権力を握る持統天皇が謀反の罪を着せ、武勇も優れ豪族間で人気の高かった甥の大津皇子を殺めてまでも、自分の跡を継がせたかった、一人息子の草壁皇子その人でした。
病弱だった草壁は女帝のこうした必死の努力の甲斐もなく、即位する前に病死したのでした。 持統は止むなく今度は孫の軽皇子へのバトンタッチに全力を注ぐのでした。
人麻呂たちお付きの者たち(歌の旅人)は、草壁皇子と訪れた同じ狩り場に遺児の軽皇子をお連れしているのです。昔の草壁の雄姿を思い起こし、遺児の軽皇子の姿を連想し、草壁の鎮魂歌ともなっています。
・いも寝やらめも→寝ることができようか。 「い」は眠り。
 
(223') 東(ヒムガシ)の 野にかぎろひの 立つ見えて 
           かへり見すれば 月かたぶきぬ
                 巻1・48  柿本人麻呂
大意・ (足もとのまだ真っ暗な)草原の東の空には陽炎の立つのが見えてふと振り返ると、西の空にはなお、傾く月が見えているではないか。という雄大な叙景歌です。
犬養孝教授は現場を訪れて、この歌の情景から、月日、時刻を特定し、荒涼とした冬の原野を想われます。
しかし文学作品は、常に作者の手元を離れると、独立し鑑賞されて行くものでもあります。多分、中学校あるいは高校では、壮大でスケールの大きな歌として紹介されたことでしょうし、その解釈で良いのではないでしょうか。

犬養孝教授は万葉の故地をくまなく訪ねて、研究を深めた万葉学者で私もその講演を聞いたことがありますし、大変尊敬する方ですが、すでに故人でいらっしゃいます。著書『万葉の人々』『万葉の旅』『花の万葉集』『万葉の大和路』など初心者向けに『万葉集』を分り易く書かれています。ビデオ、カセットブックも多数あります。

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