趣味でつながる、仲間ができる、大人世代のSNS、趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)

よくあるご質問

どこかに似た境遇かな、菅総理! 名歌200選? 素浪人の『万葉集漫談』(226話)

時代を謳歌し時として時代をリード、プロモートするマスコミ。それと似た存在の万葉歌人といえば、柿本人麻呂でしょう。
天武、持統、文武と三朝のいわゆる「万葉第2期」(672〜710年)に活躍した花形歌人は何と言っても人麻呂。
折りから律令国家完成期、中央集権国家完成期、天皇絶対権の確立期という華々しい時代ですから、天皇絶対礼讃を声高らかに、大きなスケールで荘重に歌いあげます。もちろん歌聖ともいわれる大歌人ですから、恋人との相聞歌あり、妻への挽歌ありですが、マクロ的にみて個我への芽生えというか目覚めはまだ、感じられません。
しかし、どの時代でも時流を横に見ながら、己の才能を生かし、後世に称えられる素晴らしい生き方もあります。人麻呂と同じ世代を生きたとされる高市黒人の場合は如何でしょう。

(226) いずくにか 舟泊(ハ)てすらむ 安礼(アレ)の崎
          漕ぎ廻(タ)み行きし 棚無し小舟
             巻一・58 高市黒人(タケチクロヒト) 
大意・ 一体どこに碇泊したのであろうか。安礼の崎(地名)を廻って漕いで行ったあの棚無しのちっぽけな舟は。…と、去っていった舟影を自分の心で追っていて、作者の漂泊する心の内面を歌っているのです。

解説・ 寂寥の世界とでもいいますか…。上2句で切れていてそこに自分の主観を置いたのですね。そして3句に「安礼の崎」という具体的な場所(地名)を置いています。 
黒人は万葉集に短歌ばかり18首(異説もある)を残しますが、いずれもこうした名歌が多いようです。そういえば<221話>でお話しした「ささなみの…見れば悲しも」巻1・33も行幸にお供して公的な立場で歌を作っているのですが、やはり自分の心に帰趨させていますよね。

孤愁の人。…未曾有の大震災で、恐らく人類の誰をもってしても予測も、対応も簡単にはできないはずの東日本大震災に、眠る暇もなく必死に立ち働き毎日を過ごす菅総理が、マスコミや世論に袋叩きにあって退陣を余儀なくされてゆく姿が、この歌人とふと重ね合わされて…。
試行錯誤しかありえない時は、一人の決断よりも、多くの知恵者、専門家の英知を集めて、じっくり行動を起こすことです。
あの、英知と決断力で知られる石原東京都知事ですら、震災の少し前まで、東京湾に原子力発電を設置推進しようと躍起になっていたというお話しは嘘の話ですか? ことほどさように、人知では計りしれぬ問題もありうることを私達は知らなければいけません。
いや、また脱線したようです。 

黒人、人麻呂が活躍した「万葉第2期」が終り、平城京への遷都で、いよいよ「万葉第3期」(710〜733年)に入り、大伴旅人、山上憶良、山部赤人、笠金村らというそれぞれに個性の違う、特色のある万葉の歌が花開く時代を迎えます。

コメント

コメントはログインすると見られるようになります。