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よくあるご質問

怖い!女性の嫉妬。…名歌200選21、22、23、24  素浪人の『万葉集漫談』(229話)

男の嫉妬は人間を賤しくするともいいますが、さて古来、女性の嫉妬はいかに考えるものなものか…?
『万葉集で』で最も古い第16代仁徳天皇時代の皇后の歌と、関連する物語を紹介して、解答は読者の皆様に委ねたいと思います。(笑)

(229) 君が行き 日(ケ)長くなりぬ  山たづね
        迎へか行かむ 待ちにか待たむ
             巻2・85   磐姫皇后(イワヒメコウゴウ)
大意・ あの方が旅に出て随分久しい日がたつのに未だにお帰りがない。(もう待ちきれませんわ!)山を踏み分けてお迎えに行こうか知ら。 いや、このまま、待ち続けようか。

(229') かくばかり 恋ひつあらば 高山の
        岩根し枕(マ)きて 死なましを
            巻2・86  磐姫皇后(イワヒメコウゴウ)     大意・ こんなに恋い焦がれて待つより、ひと思いに出かけて、険しい山の岩を枕に、死んでしまった方がましだわ。         

(229'') ありつつも 君をば待たむ うちなびく
        我が黒髪に 霜のおくまでに
            巻2・87 磐姫皇后(イワヒメコウゴウ)
大意・ いや、このままお待ちしましょう。うち靡くように長いこの私の黒髪が白髪になってしまうまで。  

(229''') 秋の田の 穂の上(ヘ)に霧らふ 朝霞
         いつへの方に 我が恋やまむ
            巻2・88 磐姫皇后(イワヒメコウゴウ)
大意・ 秋の田の稲穂のうえに立ちこめている濃い朝霧のように、私のこの切ない胸の思いはいつまでも晴れ上がってくれそうもありませんわ。(濃い朝霧が恋心そのもので、もうどうにもなりません。の意)

解説・ 『万葉集』の中でもっも最も嫉妬深かったとされる磐姫皇后は、あの記紀伝承の人物として名高い武内宿禰のお孫さんで、父は当時天皇家に匹敵する程の勢力をもった豪族、葛城襲津彦(カツラギノソツヒコ)です。 
歌は『万葉集』巻2冒頭の4首です。 ?行こうか戻ろうか、揺れ動く女性の心。 ?いや野たれ死にしてでも迎えに行こう。 ?いや、やっぱり老女になるまでも、待とう。 ?もう、恋い迷い悩んで訳がわかりませんわ。という芝居でいえば第1、第2、第3、第4場という設定の連作となっていて、実際には後世に編成された歌といいます。 

さて、女性の嫉妬。 磐姫皇后は、浮気っぽく艶聞に満ちた一面を持つ仁徳天皇が恋した女性をことごとく苛め抜きます。ある時、吉備の国のクロヒメという美しい女性と天皇が恋仲に墜ちると激怒して吉備の国へ追い返します。舟に乗った姫を天皇が「哀れな」と歌に詠むと、彼女を舟から引きずりおろし、遠い吉備の国まで歩いて帰らせたというのです。
そして今度は仁徳天皇が八田姫に恋をするとたまりかね、実家の見える山の家に引きこもり、度々の迎えの使者も受け付けず、仁徳天皇ご本人の訪問も「ノー」と拒否。その地で孤独な死を遂げたとされます(異説もあり)。 
いや、長編小説にもなりかねない逸話でこの話はまた、別の機会に譲りましょう。  聖帝の誉れの高い仁徳天皇のもう一つの顔(クセ)とその皇后のお話しから、女性の嫉妬の怖さあれこれに改めて思いを致すことです。(笑)

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