『万葉集』巻2は昨日の磐姫皇后の歌で幕を開けるが、引き続き天智天皇に愛された過去をもちながら、藤原鎌足の正妻となって後世を過ごす、鏡王女(カガミノオオキミ)の数奇な運命をもの語る、不思議な4首の歌があります。
(230) 秋山の 樹(コ)の下隠(カク)り ゆく水の
われこそ益(マ)さめ 御思(ミオモヒ)よりは
巻2・92 鏡王女(カガミノオオキミ)
大意・ 秋の山の木の下を隠れて流れゆく水のように、私の貴方への思いは表には出さなくとも、貴方が私を想ってくださるよりはるかに何倍も大きいと存じます。
解