道ならぬ恋路に生きた、但馬皇女。…名歌200選(42)(43)(44) 素浪人の『万葉集漫談』(238話)

(238) 降る雪は あはにな降りそ 吉隠(ヨシバリ)の
          猪養(イカイ)の岡の 寒くあらまくに
             巻2・203 穂積皇子(ホズミノミコ)

大意・ 降る雪よどうぞ、そんなに多くは降ってくれるな。吉隠(ヨシバリ)の、猪養の岡に眠っている但馬皇女が寒いだろうから…。恋人の死を思いやる穂積皇子の、哀切尽きぬ歌、名歌です。
解説・ 今は亡き恋人但馬皇女の眠るお墓にしんしんと降り積もる雪
に、やり切れぬ男の想いが重なります。
物語の構成上また、歌の番号が順不同となりますが、古代最大の内乱とされる壬申の乱の総大将、高市皇子