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よくあるご質問

栄光と怨念と悲劇を身一つにもつ持統女帝?。…名歌200選(45) 素浪人の『万葉集漫談』(240話)

(239) 春過ぎて 夏来(キタ)るらし 白栲の
            衣乾したり 天(アマ)の香具山
              巻1・28 持統天皇(ジトウテンノウ)

解説・ 「春も終り、夏が来たようだわ。ほれ、天の香具山には真っ白な衣が、陽光に映えて輝いているではありませんか!」と、日本の和歌史にはじめて、季節の推移を詠った名歌。2句、4句の句切れで力強い調子を生んでいます。
「白たへの」は枕詞としても使われますが、ここでは実景の描写。衣については衣替えの衣とも、乙女の物忌みと禊のための衣ともいわれます。
万葉第2期の歌人として『万葉集』への持統天皇のデビュー作は、この28番歌で始りますが、この歌は藤原京への遷都を果たした694年の作品とされます。
これまでの天皇の代がわりごとに遷都してきた制度を改め、中国の都城制に倣った最初の都をきづき、新都造営、新時代到来の寿歌に相応しい躍動感を見ます。

さて、この歌では、世の中を一新して眺めるような、明るい歌を詠んだ持統天皇です。
天智天皇の皇女に生まれ、天武天皇の皇后となりその後を継いで自らも即位し、愛孫(文武天皇)に譲位する…といった、まさしく天皇制の真っただ中を生きた、輝かしく華やかな生涯を誰しも想像しがちである。

しかし、その生涯は実に波乱万丈。怨念の生い立ちがあり、甥の大津皇子を処刑する非情があり、栄光と悲劇を身一つで脊負ったものでもあったのです。 百済救援のために斉明女帝が大阪港を後にしたあの軍船の中に、夫の天武天皇、姉の大田皇女らとともに、乗船していたことは、すでに述べました。愛息、草壁はこの旅の道中、博多で生んだのでした。

彼女の怨念の生涯はしかし、この前の彼女の幼い時から始まっていたのです。万葉歌を学ぶ域では詠まれた歌もないし、なかなか踏みこむこともないのですが、それは彼女の実家の滅亡、母親の死と大きく関わっています。この日記では次回以降に、その語られざる領域に少しだけ、分け入ってみようかと考えています。

カテゴリ:ニュース・その他

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