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よくあるご質問

5、ウェイデンの《十字架降架》

プラド美術館が所蔵するイタリアルネサンスの名画、フラ・アンジェリコの《受胎告知》の次にK子さんが我々を案内したのは、フランドル絵画の発展に大きく貢献したロヒール・ファン・デル・ウェイデンの傑作《十字架降架》であった。
 この絵はルーヴェンの聖母教会の中にある石弓職人礼拝堂に掲げられ、後に、ネーデルランド統治者のハンガリー女王マリーの所望するところとなり、そのベルギーの居城バンシュ城に納められた。その城で女王の甥であるフェリペ皇子(後のフェリペ2世)がこの作品を見て気に入り、女王の死後に遺産として手に入れた作品。
 スペインへの移送中に作品を運ぶ船が海難事故に遭ったが、何とか無事に着いて今日ある。
 作品は黄金の箱を模したような枠組みの中に、彫像にも似た立体感と質感が表現され、服装、肌のトーン、華やかな彩色と巧みに配された構図によって劇場舞台のようである。

 「これは教会のために画かれた絵ですから、本来遠くから見る絵なのですが、後で近く寄って見ていただきたいと思います。北方ルネサンスの精密さがよくわかります。
 1435年、フランドルのウェイデンの描いた作品です。
 ファン・アイク兄弟が油絵具を開発したことで重ね塗りが可能になりましたし、細かいところまで精密に描くことが可能になりました。
 聖母マリア様のコバルトブルーのドレスの襞をご覧下さい。祈りと純潔のブルーです。
 この頃になると表情がとても豊かになりますが、一生の間で最も悲しい、自分の息子が先に逝ってしまうことの悲嘆で、マリア様は真っ青なお顔でくずおれていらっしゃいます。
 左の赤い衣の方は、最後までマリア様に付き添った十二使徒の一番若かった聖ヨハネですが、泣いて、泣いて目の辺り真っ赤です。後ろの白い頭巾の女性は聖ヨハネのお母様で、すすり泣く声が聞えてきそうです。
 右側の胸の開いている女性はマグダラのマリアです。
 絵の構図としては、日本の書道のように流れがあります。
 一番上の男の人から左のお髭の男性の頭、女性の頭を通ってヨハネの頭、そして腕を通ってマリアの身体、その腕からキリストの腕、さらに左腕を通って右の男の人の頭、マグダラのマリアの頭、肘からキリストの身体を通ってすっと頭へぬける流れです。
 もう一つは、上の男の人からキリストの身体を通ってマグダラのマリアの肘、頭を通って画面の人の頭をずっと通って、マリア様の身体をすっと通り抜ける線です。
 ダビンチコードに興味ある黄金比について書かれていますが、人の上腕と肘から先、腰から膝と膝下の長さが1対1,618だというのです。蜂の雌雄の比率も1対1,618」。
 K子さんの話に付加すると、ミロのヴィーナスの頭から臍と臍から足まで、名刺の縦対横も、星を書いて頂点に順にabcde置くと、abの長さと頂点を一つ越えたbeの長さが1対1,618。 亀田製菓のピーナツと柿の種も黄金比率 ?。
 いずれにしても最も安定感のある均整の取れた美しい黄金比率、きっとダ・ヴィンチも研究したにちがいない。
 1400年代に作曲された聖歌の楽譜の音符の高さが、この絵の人の頭の位置にぴったり一致するとか、聖ヨハネとマグダレのマリアが(括弧)の位置にあり、キリストと聖母マリアのお身体が斜めの線になるとか、構図上いろいろ読み取れる流れだ。
 
 この後、ヒエロニムス・ボスの《快楽の園》を観た。
 この絵こそ細かに見ていくと、原罪の起源から贖罪、そして罪を犯した者たちの姿、地獄までも描かれている。
 美しい女性たちの裸体に具現化され、至るところにある赤い実に象徴される肉欲が人々を突き動かしていることを示し、本能的に無意識のうちに地上の快楽を求める人間の姿を描き出している。
 ボスの絵も、フェリペ2世が好んで蒐集したためプラド美術館にたくさんある。

カテゴリ:ニュース・その他

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