人麻呂の最後の若妻、ヨサミの歌。…名歌200選(50)(51) 素浪人の『万葉集漫談』(244話)

石見の国の依羅娘子(ヨサミノオトメゴ)といえば、柿本人麻呂の最後の妻として知られます。

石見に妻を残して、都へ旅立つ人麻呂の歌を前回紹介しましたが幾つかの長歌があってその反歌の中に次の歌もあります。

(244) 青駒が 足掻(アガキ)きを速み 雲居にぞ
            妹があたりを 過ぎてきにける
                  巻2・136 柿本人麻呂

大意・ 青駒の歩みが早いので、いつまでも見たいと思っていた妻の住む里を、あっという間に雲の果て遠く、隔てて過ぎてしまったなぁ。
という意味内容の歌です。
解説・ 詩人、大岡信『古典を読