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よくあるご質問

ロミオとジュリエットの悲劇か。壬申の乱の英雄、高市皇子の涙。…名歌200選(55) 『万葉集漫談』(247話)

壬申の乱(ジンシンノラン)といえば、天智天皇がなくなった翌年、皇位継承を目指す天皇の弟・大海人皇子と、天皇の息子・大友皇子(近江朝廷)との全国規模の戦乱でした。
吉野の山に隠棲していた大海人皇子の配下は40人そこそこで、その半分はか弱い女性たちですから、それは心許ない挙兵ではあったと思われます。しかし迅速な大海人の行動と作戦は功を奏し、かねて大海人の皇太子時代の功績や人柄に心を寄せる人臣、民も多く、近江に向けて進軍する吉野勢には次第に味方につく軍兵が増えて見る見るうちに膨らんでいきます。
特に近江朝を抜け出して、はせ参じた大海人の第一皇子・高市皇子や、大津皇子の参戦は大海人にとっては何にも代えられぬ歓びだったと思います。
そしてこの吉野軍の総指揮官を委ねられた高市皇子でした。
近江朝廷の大軍を向こうに回し、カクカクたる戦果を上げ、ついに敵を壊滅させたのです。
いわば壬申の乱の大英雄です。
その英雄には、ひそかに愛し、憧れた人妻があったのでした。戦いも終わって数年を経たある日、その女性の急死に遭遇し、悲涙にくれるのでした。

(247) 山吹の 立ちよそひたる 山清水 
          汲みに行かめど 道の知らなく
             巻2・158  高市皇子(タケチノミコ)

大意・ (黄色く美しく一面に)山吹が咲いて、こんこんと山清水の湧く(黄泉の国に旅立った貴女の)ほとりを訪れたいのだが、(現身の)私には、お訪ねする道がわからないことよ。 
解説・ さて、皮肉にも高市皇子が恋し憧れた人妻は、この壬申の乱で攻め滅ぼした大友皇子の妻、十市皇女(母は額田王)だったのです。二人はいずれも母は異にしますが天武天皇のお子様で、幼友達だったようで、その頃からの想い人だったのでしょうか…。
 古代のことです、政略結婚で天智帝の息子、大友皇子と結婚を強いられたのでした。その十市皇女が壬申の乱では「鮒の包み焼き」に密書を託して近江の動静を父の吉野へ諜報したとか、未亡人となった暁に高市皇子と再婚していたとか、「ロミオとジュリエット」に擬する悲劇だ等など様々な想定や、学説もあって定かなことは分りません。
高市皇子の十市皇女の死を悼む歌3首がここにあって、そこから様々な物語が生まれています。この歌はその中の一首です。

ああ、何と切なく、やるせない挽歌であることか!
こうして万葉のロマン、歴史のロマンが今朝も私の夢を大きく膨らませ、別世界へといざないます。

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