『万葉集』巻二最後の挽歌…。名歌200選(59) 素浪人の『万葉集漫談』(251話I

『万葉集』巻二は相聞歌と挽歌の二部立ての巻ですが、その巻二の最後に、万葉第二期に活躍した歌人、志貴皇子が亡くなった折の、大変ドラマチックな構成で詠われた「笠金村歌集」抄出の長歌と短歌があります。

「高円山の春の野を焼く野火と思われるまで燃えるあの火は一体何の火だ?」 夜の空を焦がして延々とつづく葬儀の列を見た第三者(歌の作者自身としての発言としてではなく)のいぶかる質問に、 白栲の衣(葬儀の浄衣)を着た参列者の一人が 「どうしてみだりにそんな質問をするのだ! そんな声をかけられるとまた新たな涙が出て止まらなくなるではないか。語るとまた心が痛む。 …あれ