「追いつけ、追い越せ」の世情を超えて、歌われた歌。…名歌200選(60) 素浪人の『万葉集漫談』(252話)

「追いつけ!追い越せ!」は、先進欧米諸国をの文化や生活をにらんだ明治維新政府の大きなスローガン。富国強兵も、そのひとつでした。
万葉時代も、隋、唐という途方もなく大きな先進国への憧憬が、天皇を中心とした貴族、学者、僧侶達の間に髣髴と生れ、血を騒がせたようです。
しかし天武・持統朝では、遣唐使派遣を中止して律令体制の整備強化を徹底しました。万葉2期(672年・壬申の乱→709年・平城京遷都前)でも、遣唐使の再開(第7次)は42代文武天皇時代になって、藤原鎌足の二男、藤原不比人の台頭になってからのものでした。

こうした緊張の張り詰めた厳しい国内情勢が久しく