趣味でつながる、仲間ができる、大人世代のSNS、趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)

よくあるご質問

古代の怖ろしい海の旅。…名歌200選(61)(62) 素浪人の『万葉集漫談』(253話)

『万葉集』巻3は雑歌、比喩歌、挽歌で成り立ち、その雑歌の分類に、柿本人麻呂の羇旅の歌8首と、高市黒人の羇旅の歌8首が、前後(間に弓削皇子、長田王等の歌がある)して配置編集されています。
何れも万葉学者、著名歌人ら万人が異口同音に、「名歌」「秀歌」に挙げる作品です。

(253) ともしびの 明石大門(アカシオオト)に 入らむ日や
              漕ぎ別れなむ 家のあたり見ず
(253’) 天離(アマザカ)る 鄙の長道(ナガチ)ゆ 恋ひ来れば                明石の門(ト)より 大和島見ゆ
             巻3・254、255 柿本人麻呂
大意・ (怖いことで名高いこの)明石海峡にさしかかる日は、漕ぐ船も、遥か遠き故郷に別れを告げようというのか、わが家のある大和の山々も、もう見えなくなったなぁ…。(往路) 
大意・ (怖ろしく遠く)遥かな鄙の長い海旅を、ひたすら都恋しくて漕ぎ上ってくると、おお、明石海峡到着だ。ほれ、故郷の、大和の山々が見え始めたぞ!(帰途)

解説・ 当時の海旅はすぐ隣に死を伴う恐怖がありました。舟は小さくお粗末で小波にも揺れたし、強い風が吹くともう大変な混乱と騒ぎを呼んだのです。航海技術などももちろんなく潮流も読めずで、周囲何処にも照明はなく夜の海は黒くただ目の前に広がっていたのでした。船上も船内も、足元を照らすのに苦労する時代です。
航路の平安を祈る気持ちは、現代とは到底比較にならぬ恐怖をともなったと思います。
当時はスモッグもなく明石海峡に辿りつくと大和の山々が見え始めてて、故郷に帰りついたぞという安堵がまず心を満たしたのでしょう。 

風光明媚な瀬戸内の旅を満喫する私達とは、いささかかけ離れた時代に背景を戻して鑑賞しなければこの名歌の良さは味わえない気がします。
二首何れも声調素晴らしく下手な解説より、大きな声で朗誦して頂く方が、万葉の時代、人麻呂の真価に直接触れ得る気がいたします。

カテゴリ:ニュース・その他

コメント

コメントはログインすると見られるようになります。