実家の猫

幼いときに実家では犬を飼っていたが、猫は飼っていなかった。それでもどら猫が住み付いていて、ネズミだけではなくたまに食卓の魚を食べることがあった。その時はどら猫を追いかけるのが私の役目であった。

会社を定年後、老母を見舞い、墓参りをするのを目的に実家に帰るようになって、台所に行くと雄猫がいつもいた。甥か姪が拾った時のいきさつからか、木村拓也から名前を取って、「たく」と呼んでいた。なお、この猫はたま猫ではない。

実家に帰るたびに、「たく」の喉を擦り、背中を撫でてやったら次第に懐いてきて、膝の上に乗っかって、ゴロゴロと喉を鳴らしたり、足元にごろりと横になり