47、クレーの「黄金の魚」を観る

つかの間のリューベック滞在の最後に、この町の富の源であった「塩」の倉庫、トラ―ヴェ川沿いの16世紀頃から建て始められた、古色蒼然としたレンガ造りの建物の写真を日記に残しておこう。
 バルト海で捕れたニシンを塩漬けして長期保存したのも、カトリックでは復活祭前の四旬節に肉を口にすることを禁じられていたため、蛋白質摂取のためにもそれが重宝されていたからだという。
 子ども頃、北海道でもニシンが大量に捕れていて、山の中の炭鉱町にも生ニシンが入ってきていた。開きにして出窓に吊るして軽く乾燥させ、それを焼いて熱々の上に醤油をジュッとかけて昼食のおかずにしていた。