「言語起源論――旋律と音楽的模倣について」 ルソー (著), 増田 真 (翻訳)

☆☆☆★

ジャン=ジャック・ルソーの「言語起源論」が、岩波文庫から新訳で登場した。私がこの本に興味を持ったのは、その半分が音楽起源論だから。この思想家は、人間の言葉の起源は、精神的な欲求、情念であり、飢えや、乾き、恐れなどの本能的なものではないと考える。本来、生きるために他を遠ざけるのが獣であり、人間はその情念から社会を形成したように、言葉も情念から生まれた。ルソーのこの思想に、岡潔との繋がりを感じるのは私だけだろうか。

ルソーの思想に戻る。人はまず考えたのではなく、感じたので、最初の言葉は、詩人の言語だった。そして、その原始の言語には、音楽の起源