驚異の蒸し返し率

 深水黎一郎の「午前三時のサヨナラ・ゲーム」を読了した。著者は、メフィスト賞出身のミステリー作家であるが、慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得退学(仏文学専攻)、パリ第12大学博士課程研究専門課程(DEA)修了という異色の経歴の持ち主で、「薀蓄」系のミステリーが得意とされている。本書はミステリーではなく、プロ野球ファンの人間模様を描いた短編集である。
 「1 午前三時のサヨナラ・ゲーム」:かつて暮らしたことのあるロッテ・マリーンズの熱狂的ファンの咲枝と再会した私は、彼女に言われるままに、土砂降りの雨の中でドライブで海に行く。その後、通りがかりの道にあっ