賢木 6
春宮に関する事柄で相談したいことは、藤壺は源氏を頼りにしている様子であるが、源氏からの文に対してはただ事務的に感情を入れないで素っ気ない返事ばかりするので、源氏は、
「どこまでも感情を入れずに冷静な方である」
と、藤壺に対して愚痴をこぼしながら読んでいるのであるが、今まで春宮のどのような事でも後見していたので、自分が春宮に会わずにいることは、
「女房達が変だと、怪しんだりしたら大変だ」
と、思い、藤壺が内裏を退出する予定の日に、源氏は春宮の下に参内した。
参内して源氏はまず、朱雀帝の前に参上すると、帝はくつろいでいたところ