ジェット・ストリームの思い出

昭和45年の夏の或る夜、私は大学の学部の卒論作成のために徹夜したことがある。
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その卒論のタイトルは未だ覚えている。いわく、『トランジスタの温度特性の応用』。当時、トランジスタと言えば、Geトランジスタしかなく、その温度特性は極めて悪かった。それを逆用しようというわけであった。
同じテーマを選んだ友人が一人いた。彼は其の頃、尺八に凝っていて、卒論のための実験の合間に、『笛を吹いてくる』とか言って、卒論の実験をしていた研究室から抜け出していったものだった。
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後年の話になるが、私の最初の勤め先の入り口の門近くで、彼と偶然出会ったことがある。その