連載:近代

伊藤博文の背に貼りついた死の翳

明治時代に旅順監獄の所長をしてい栗原警視は、旅順に来て演説していた伊藤博文の背に、貼りつく死の翳を見たそうです。

 日本の総理で枢密院議長の伊藤は、韓国併合をロシアに認めさせるために、旅順からハルビンに向かう途中でした。

 栗原警視は、死刑囚を絞首台に見送るとき、その背に貼りつく死の翳を見てきましたが、伊藤の背にそれを見て不吉に思ったそうです。

 翌日ハルビンに着いた伊藤は、小旗を振って歓迎する邦人の間を抜けて、ロシアのココツェフ公使に近づいたときです。

 突如、「パン!パン! パン!」と銃声が響いて伊藤の矮小な体躯がぐらりと倒れました。

 そ