連載:写真

「ヤブレガサ」

朝目覚めると真っ先にリビングの雨戸を開ける。今までは台所に行ってまずは体重測定だった。ヤブレガサが昨日と同じように立っている。

そこは檜舞台とでも言いたくなるような特別席で、そのとき一番見たい鉢を置く。

すぼめた傘の形がまだ一本残っている。殆どは開いてしまったが、それでも葉が変わった形をしているので頬が緩む。ヤブレガサ。この植物に名前を付けた人は時代劇が好きだったのだろうか。分厚い和紙で作られた傘しか思い浮かばない。

サンダルを引っかけて庭に出る。今最初に見るのはエンレイソウ。田舎からもらったものを地植えにしてある。山野草をここ千葉県で育てるのは難