【俳句ノート まとめ 】あけび庵

ふた道の向こう憂き身や猫の恋
なつぎぬの見番のさき寺町や
西茶屋の見番の三味白重ね
鳴き移り老鶯すでに山中に
夕立ちを遥かに追うて空の色
竹の子の伸びて立ちゆく速さかな
大山の鹿の子知らず蛇いちご
これまでと春の舞台に見得をきり
線香の花火はじけて闇のなか
それぞれのすっくと立てり花菖蒲
母の日や姉につられて長話
花色や揺れて波紋の藤の棚
蛙より鳥の遠音のほうけかな
房州の枇杷を競いて道の駅
屍や薄暑に鳥の哀れかな
寒谷の九十九折れるや夏峠  (さむたに)
身に清く新緑の風通り過ぎ
ゴミ箱を飛ばし五月の風気まま           -