「エトルリアの微笑み」にノックアウトされた

ホセ・ルイス・サンペドロ 「エトルリアの微笑み」
著者はスペインの経済学者だが、この小説は何という取り合わせの妙だろう。

主人公は南イタリア(カラブリア)から息子夫婦の家(ミラノ)に連れて来られた偏屈な爺さん。彼は羊飼いであり、戦争中はパルチザンとして活躍した村の英雄であったが、進行中の癌を体内に抱えていて、ルスカと命名して飼っている。息子は成長して故郷を出て行き、老いた父を都会で治療するために呼び寄せた。

この物語を読者の心にピン留めするように出現するのは エトルリアの夫婦の棺、ロンダニーニのピエタ(ミケランジェロ)、ゼウスの伸ばした指先(ミケラン