天才画家とその「理解者」:フランス映画「セゼンヌと過ごした時間」

画家のセザンヌと小説家エミール・ゾラの親交を描いた作品である。

近代画家の中には、しばしば晩年や死後、その作品価値が飛躍的に上がる作家がいる。有名なのは、ゴッホであるが、セザンヌもそのひとりだ。但し、その作家の天才的な才能を理解する人間は居るもので、ゴッホにとっては弟の画商テオであり、セザンヌにとっては小説家のゾラであったのであろう。

しかし、セザンヌにとってゾラは理解者であると共に、辛辣な「評論家」でもあった。何せ、ゾラは自然主義文学の旗手でもあったからだ。親友でありながら、嘘偽りの無い画家の姿を描くゾラと、ゴッホの間には、次第に確執が生まれ