まつろわぬ者達

 今村翔吾の「童の神」を読了した。著者は時代小説作家であり、2018年に本書で第十回角川春樹小説賞を受賞している。本書は、源頼光による大江山の酒呑童子退治をモチーフとし、朝廷にまつろわぬ者達の闘いを描いた伝奇時代小説である。
 安和2年(969年)、左大臣源高明は土蜘蛛、鬼や夷等、童(わらわ)と総称される化外の民との同和を訴えるために、源満仲の同心を得て安和の乱を起こす。高明の従者の藤原千晴は陰陽寮に勤める安倍晴明を通し、愛宕山の群盗滝夜叉の棟梁の皐月に乱への参画を依頼する。皐月は平将門の娘であり、清明との間に一女をもうける仲だった。千晴の申し出に同意し