映画「天才作家の妻/40年目の真実(The Wife)」ノーベル賞作家の虚像

 真夜中にスウェーデンのストックホルムからの電話で叩き起こされたジョセフ・キャッスルマン(ジョナサン・プライス)とジョーン(グレン・クローズ)は、やや腹立たしい気分で受話器を取った。

 相手の言葉を聞くうちに眠気は吹っ飛び満面の笑みが浮かぶ。その電話は「ノーベル文学賞に決まりました」だった。ベッドに立ってぴょんぴょんと年甲斐もなく小躍りする二人。

 映画は、この二人の過去にさかのぼり夫婦の実態を暴き出す。1958年スミス・カレッジの若きジョセフ・キャッスルマン教授(ハリー・ロイド)の部屋に若きジョーン(アニー・スターク)を招き入れた時から始まる。