死者に語る力を与える戦場ジャーナリスト、メリー・コルヴィン。映画「ア・プライベート・ウォー」

サンデイ・タイムズ(イギリス)の戦場記者メリー・コルヴィンの伝記映画である。サンディ・タイムズと言えば右派のメディア、ニューズ・コーポレーション系の日曜紙であるが、彼女自身それほど保守色のある記者では無い。それは、常に戦場を市民の目から描いているからであろう。彼女の視線には、政府も反政府も無い。あるのは、戦場にあって常に無力な人々の「小さな」命であるという事だ。メリー・コルヴィンにとって、政府も反政府も、戦争を止める力は無い。その力が有るのは、横たわる死体であり、消えゆく弱々しい傷病者の姿で有るという事だ。だからメリー・コルヴィンは、その姿を追い求める