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よくあるご質問

友達ごっこ (復元日記)

2015年11月13日


子供が幼稚園に行くようになるとママ友は増える。
その時できた友達、山田さん(仮名)は、ある宗教団体に所属していた。

気配りや気遣いに長けたその人は友人も多く「誰からも好かれるタイプ」だったが、誰からも好かれるということは、ややもすると欠点にもなった。

彼女はある人には「八方美人」に見られ、ある人には「お調子屋」に見られた。
多くの友達がいれば良くも悪くも噂が集まり、そして拡散する。

それに自分がオンリーワンでいたいのは恋人だけではない。友人にだってそれを望む人はいる。
それぞれの理由で友達が多い彼女を敬遠する人がいたのは確かだった。

私自身も人気者の彼女には求めすぎないようにしていた。
ある時、実にフレンドリーに彼女から電話があった。
でも彼女の目的は新聞の購入のオススメだったりしたものだから、私はおつきあいに少し距離をおかせてもらうようになった。

そのうち私が同じ市内とは言え、二度も引越しした関係で彼女とは疎遠になっていったが、共通の友人川島さん(仮名)を通じて、近況などは時折聞いていた。

その川島さんは何年も前に夫の不倫が原因で離婚していた。
そのとき山田さんは私よりはるかに川島さんのことを案じ、何度も電話をしては慰め、励ました。

信仰心がある人ならではの励ましは説得力もあり、おそらく川島さんは随分勇気づけれたことだったろう。

ある時、山田さんは川島さんを誘って数人の仲間と飲みに行った。
そこで川島さんはその仲間の男性と恋仲になった。
ところが彼は山田さんの初恋の相手で、まだほのかな恋心が残っていたらしい。

そこから友情に微妙な変化が起きた。山田さんが川島さんによそよそしくなったのだ。

川島さんは言った。
「山田さんは私の幸せを喜んでくれると思ったのに」

川島さんは初恋の男を取られた単なる嫉妬だと思ったようだが、私はそれだけではないと思った。

山田さんは不幸な人間が好きなのだ。
不幸な人に精一杯優しくしてあげることに自分の存在価値を見出しているのだ、と。

ボランティアというのは素晴らしい活動だが、結局根っこのとこにはそれがある。

故・井上ひさしは幼い時、養護施設のような所で育ったが、時々ボランティアでやってくる婦人団体の慈善事業に「自分たちが喜んで見せないといけない何か」を感じて嫌だったと書いている。
それが哀れみや、同情、そして優越感だったことに多感だった彼は気付いていたのだろう。

それは個の人間関係でも深層心理の中にはある。
川島さんは悩んでいる時には山田さんの優しさしか見えなかったが、新しい伴侶の出会いで幸せになってみると山田さんの中にもある嫉妬や、優越感が見えるようになったのだ。

信仰心の篤い山田さんには、そんな人間の業みたいなものはないと思っていただけに川島さんはショックだったようだった。
けれど私は逆にそんな山田さんの人間臭さに少しホッとした。
とは言え、彼女との距離感はもう縮まることはない。

彼女とは今の距離感がちょうどいいのだ。
トイレにまで一緒に行こうとするような女特有の友達ごっこは、もうずっとずっと前に私は卒業している。

夫婦だって適度な距離感が大切なように、友達との関係もそれは大切なことだと思うが、そう思うのは私だけ?

***

3つに共通する漢字。
正解は「軽」です。


足軽

軽石

軽口

カテゴリ:ニュース・その他

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