連載:運動

「ゼロに戻るのだ」

遅れたくない。遅れるのはここ、坂だ。先頭が走る後に続け、小径の右側だ。二番手が左側を走るから私はその後に続いていた。

離れずに続いた。今度はこのカーブだ、苦しい。足を上げて大幅に。あと少しだ。よし、続いている。

三人で歩く。あと二人はそれぞれのペースで走っているはずだ。何周走ったかを木の枝を置いているから、もう来ているはすだと言う。

どうやって数えるかという話になった。私は腕時計、一周8分が目安。もう一人は指を折る。

「でも6の時、あれ?4だっけ?6だっけと分からなくなりますよね。」
「そうそう。」
「俺はね、両手を使う。」

一緒に走ると、遅れ