新涼の夕暮れ淡き独り言



 北京新涼父のおほかた児を抱きて  小檜山繁子

 古机新涼の膝そろへけり  下田 稔

 新涼のシーツを湖のやうに敷く  木村 ふく

 新涼の庭をさまよう早暁に  アロマ

 新涼の並べし皿に絵具溶く  中尾吸江

 新涼や井水をみたす厨桶  石川桂郎 四温

 新涼や奈良の銘菓の青丹よし  里見宜愁

 新涼の風をはらんだワンピース アロマ

 新涼や手織木綿の肌ざはり  石田あき子 見舞籠

 新涼や掌のくぼにある化粧水  高山夕美

 新涼や日当りながら竹の雨  杉田久女

 新涼の夕暮れ淡き独り言 アロマ

 親子とは耳までも似て秋涼し