詩  「秋の午後」



   秋の切符
            山川啓介

 誰もいない駅の
 誰もいないホームで
 誰も載っていないだろう
 汽車を待つ

 そんな秋の孤独も
 悪いものではない
 傾いてゆく夕日の中で
 私は人恋しさの日時計


   秋の午後
             アロマ


 オープンカフェの椅子に座り
 午後の日差しに透ける紅葉を楽しむ

 仄かな紅茶の甘みは香しい
 静けさが嬉しく 夢見心地

 時折 鳥の鳴き声がする
 
 シフォンケーキが運ばれてきた

 オレンジの甘みが口に広がる
 酸味は頭脳を明晰にする

 この秋のこの時間は二度とは