戦国の山城、黒井城の麓に興禅寺がある。この古刹は明智光秀の重臣で名将とうたわれた斎藤利三の陣屋だったのだ。彼は赤井氏との戦乱が終了、その戦後処理に黒井城に入城したのだ。
彼が入城した天正7年(1579年)春日局(幼名お福)はこの地で生まれた。彼女がこの地で過ごしたのは本能寺の変で父利三が敗れる前まで3歳の冬までだった。彼女は斎藤屋敷のお福様と呼ばれて誰からも愛されていた。
城下の野山を遊びまわり、その可憐さと利発さは城下の領民たちの眼を引いたという。後年徳川家光の乳母になり、大御所徳川家康に直談判、家光を第三代将軍に押し上げた最大の功労者である。