畑の奥の奥に、背の高い皇帝ダリアが咲いていました。
真夏に咲く向日葵にも負けないほど、大きくて華麗な花は、
この時季には特異な存在。
そのダリアの横には、少し前まで立派なお城がそびえていましたが、
気が付くと、その影さえ見ることができません。
ある日、藪をかき分けて覗いてみたところ、お城はそのままの姿でしたが、
すっかり小さくみすぼらしくなっていました。
城主である、高齢の皇帝皇后の気配も感じることができません。
お城の庭で、皇后が色とりどりの豪華な百合を育てていましたが、
この皇帝ダリアもその頃に植えたのかも知れません。
今や、忘れられ見捨てられ