連載:読書感想文

6、『鍵』(谷崎潤一郎著)は高齢夫婦の究極の性生活描く

『鍵』 谷崎潤一郎著 新潮文庫
 昭和43年10月25日発行
ー谷崎潤一郎の小説は、「細雪」と「痴人の愛」は読んだが、「鍵」と「瘋癲老人日記」は読んでなかった。それで、「鍵」だけは読んだが、主人公の夫の方の日記は、カタカナで書かれていて、最初は読んでいたが、読み辛いので、後は、妻のひらがなで書かれていた方だけを読んだ。それでも、主人公夫婦の、性生活の実態はよく分かった。谷崎は、渡辺淳一よりも、先に、男女の関係を見事に小説に描き上げていた。
ー「記憶喪失ト云ッテも思イ出セナイノハ主トシテ人名ヤ地名デアッテ、事柄ヲ忘レテイルノデハナイ。頭ノ中ノ、人物ヤ物ノ名