連載:

「花さえあれば」

雨戸を開けると、青空が広がっている。そのままガラス戸を半分開けておく。

リビングの雨戸も開ける。「桃太郎」の一輪が朝日を透かしている。他はまだ固い蕾だが、確実に膨らんでいる。去年は蕾が徐々に茶色くなり、咲かずに終わった一鉢がある。

昼間は暖かくなるとテレビが告げている。半袖のTシャツの上にセーターを着た。

玄関脇の紅梅は随分前から咲いているし、ご近所さんに頂いたサクラソウも次々咲き出した。

何があっても、変わらずに春はやって来て、こうして花を付ける。花さえあれば大抵の事は乗り越えられそうな気がしてくる。今大きな不幸に見舞われている友人にもそうした