春嵐その音聞いて転(うたた)寝す



 大阪の土を巻きあげ春疾風  宇多喜代子

 今のわがこころに似たり春嵐  みどり女

 春嵐徒(ただ)ごうごうと唸り上げ  アロマ

 ひとつ塔ふたつに見ゆる春あらし  和田悟朗 法隆寺伝承

 すべて斜に竹の切株春疾風  秋元不死男

 文机にねむきうたたね春嵐  飯田蛇笏 椿花集

 春嵐地下食堂に飯食へり  中島斌雄

 レストラン窓の外には春疾風  アロマ

 一日の春の嵐の読書かな  上野泰 春潮

 ぺんぺん草花白々と春嵐  山口青邨

 春嵐風のうねりに雨音も  アロマ

 空瓶の口々めぐり春疾風  鷹羽狩行

 春嵐雲押しのけし夕明