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「真っ直ぐに」

自転車が私を追い越して行った。最初に坊主頭が目に入った。野球部のユニフォームを着ている。少年が向かっている方向には中学校がある。これからブカツに参加するのだろうか。

私は4時まで仕事し、帰るところだった。いつものようにスーパーに寄り、いつものように夕食の買い物をした。

帰宅して真っ先に目についたのは黄色だ。混じりっ気無しの平板な黄色。中央にオレンジ色の王冠を頂く。水仙だ。

日はまだ沈まず、花は真っ直ぐ西を向いている。希望という言葉が浮かぶ。水仙は希望そのもの。

恐らく故郷新潟の春がそう思わせるのだ。11月頃からどんよりとした空から落ちて来るのは、