乙川優三郎 の 屋烏(おくう)

★3.5 小藩を舞台とした武家もの5編。いずれも、人の気持ちのありようを繊細に描く。最後はほっこりした話で終るのもいい。

「禿松(かぶろまつ)」若いながら髪の薄くなり禿松とよばれる30石の男は、上士の家からきた嫁に気を使いながら、藩内抗争に引き込まれるが、昔の許嫁だった女のことがずっと気になり。

「屋烏(おくう)」お零(こぼ)れを狙い屋根から動こうとしない烏(からす)の立場。幼い弟が元服するまでと嫁に行けず頑張った250石の家、前に現れたのは顔に大傷のある30石の男だった。

「竹の春」部屋住みの男は50となり養子の口もあきらめて久しい。そんな時に兄