花吹雪路上流れて彼方まで



 残花とて散る一片も惜しまるる  石垣幸子

 味噌汁の匂ひ戻りぬ残花道  大井邦子

 朝食のポタージュ甘し花の後  アロマ

 花屑を雨に沈めし吉野山  稲畑汀子

 花屑の雨乾きゆく軽さかな  稲畑汀子

 ハチ公の像に花屑散り止まず  門脇山卯

 大仏の裾にまつはる花の屑  内藤八重

 花屑の上へ名残の花莚  木暮陶句郎

 花の屑 小川の流れ緩やかに アロマ

 花の屑追いかけ廻す幼かな  小黒加支

 掬ひては散らす花屑一少女  亀ヶ谷照子

 花屑の色を散らして風遊ぶ  古川洋三

 花屑を乗せて軽やか傘回す  森