諸田玲子 の しのぶ恋  浮世七景

★3.3 7つの浮世絵をタイトルとする短編。

「太鼓橋雪景色」は安藤広重の「目黒太鼓橋夕日の岡」。
〈蛮社の獄〉にからむ医者の若者との恋を、〈桜田門外の変〉を聞いて思い出すある藩士の妻。

「暫の闇」は歌川国政の「五代目市川團十郎の暫」。
五代目團十郎から鰕臓を名乗った芝居に熱狂する男にからむ絵師の歌川国政も芝居好きだった。

「夜雨」は歌川国貞の「集女八景粛祥湘夜雨」。
雨の夜に用事で出歩く彫師の女房が犯人と目した長屋の男は奉行所の役人で、本当の犯人は按摩。

「縁先物語」は鈴木晴信の「縁先物語」。
若かりし頃に2人の女が巻き込まれた火事の事件を、隠