〈上巻〉★3.3 紫式部(小市)が7歳から27歳まで。
小市と姉の大市9歳、弟の薬師麿5歳の3人は父が播磨の国府の役人であったためその地で生まれた。母は既に亡くなっている。物語は7歳の小市が父に伴われ京極の古屋敷に帰ってきたところから始まる。曾祖父・藤原兼輔が建てたという屋敷は寝殿造りで母屋、北の対、東の対、西の対とある。屋敷には長兄(小市の伯父)の藤原為頼一家、次兄の為長一家、そして父である為時一家、妹(小市の叔母)周防が同居している。次兄の為長は陸奥の国司だったが任地で病没、家族が帰京している。
中央政界は狂気の冷泉天皇が退位し、円融帝の時代。摂